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最終更新日2025年05月10日

バインミー市場規模(2025年版)の調査レポート

専門店
(店舗型)
専門店
(移動型)
取り扱い店
2010年5010
2011年11130
2012年18250
2013年24470
2014年30590
2015年4410112
2016年5815134
2017年7220156
2018年8627178
2019年10034200
2020年12050204
2021年14065208
2022年16080212
2023年180100216
2024年200120220
※専門店とは、バインミーを中心に販売する店舗を指します
※取り扱い店とは、メニュー内にバインミーがある店舗を指します

バインミー店舗数の推移

2010年時点で確認できたバインミー販売拠点はわずか15店でしたが、2024年末には常設店舗が約500店、イベント主体のスポットキッチンカーを含めると約540拠点にまで拡大しました。10年間で約4倍、15年間で36倍という伸び率で、ベトナム料理カテゴリーのフォーに続く人気料理です。

成長を3段階に分けると、①初期(2010〜2013年)は在日ベトナム人の急増とともに本格派の専門店が誕生、②中期(2014〜2019年)はエスニック料理ブームやSNSの拡散によって地方都市まで波及した期間、③現在(2020〜2024年)はコロナ禍の外食制限により手軽なテイクアウト需要が爆発した期間となります。また直近ではキッチンカーが増加傾向にあり、イベント等のスポット出店はもちろんのこと住宅街やオフィス街でもバインミーのキッチンカーを見かける機会が増えてきました。

店舗増加傾向のトレンド(業態・地域)

業態別動向

  • 専門店(路面型)は都市部の駅周辺に8〜12坪のテイクアウト店舗、または10席程度の小型店舗として出店するケースが主流で、平均客単価は650〜800円です。素材にこだわった店舗では1,000円前後で提供するケースも珍しくはありません。コロナ禍以降はテイクアウト専業の小箱モデルが資本効率の高さから注目されています。
  • キッチンカーは初期投資200万〜350万円で開業でき、企業ランチローテや週末フードフェスに最適化した営業形態です。現在確認できる常設車両だけで100台を超え、ローテーションやイベント専業を含めると実数はさらに多いと推定されます。
  • 既存飲食店内販売はベトナム料理店・アジアンダイニング・カフェがランチメニューの一角としてバインミーを取り入れる形態で、約220店を数えます。既存厨房を活用できるため、追加投資を抑えつつ客単価アップが図れる点が魅力です。

地域特性と出店パターン

出店傾向は大きく2つのロケーションに分かれます。在留ベトナム人が多い工業地域や留学生街では、母国の味を求める需要を取り込む形で現地風専門店が多く見られます。オーナー含めたスタッフがベトナム人であることも少なくありません。都市圏の中心部や観光エリアでは、「エスニック料理好き」や「海外旅行志向」の日本人をターゲットにした現地風専門店に加え、「パクチーが苦手」といった人たちにも受け入れられやすいようなジャパニーズ風の創作バインミーが台頭しています。つまり、人口動態ドリブン型と嗜好性ドリブン型という2つの成長エンジンが併存し、地域の顧客構造によって業態ミックスが決まるのが特徴です。

二極化するバインミー

市場が成熟するにつれ、商品コンセプトは「現地風」と「ジャパニーズ風」の二極化が鮮明になっています。

  • 現地風バインミーは、小麦粉に加え米粉を含んで作られたバゲットにレバーペースト、チャーシュー(主に鶏ハム)、なます、パクチーをはさんだ本格仕様です。価格帯は600〜800円前後とリーズナブルな傾向にあり、在日ベトナム人や“本場の味”を求める日本人エスニックファンに支持されています。
  • ジャパニーズ風バインミーは、日本の食材や調理法を取り入れた創作系です。しょうが焼き、から揚げ、厚焼き玉子、さらには季節のフルーツをサンドしたスイーツ系まで多様化しており、価格帯は600〜1,000円前後が主流です。パンも小麦比率を高めてふんわり仕上げるなどの工夫を行う店舗も見られます。

こうした二極化は、顧客層の拡散を促し市場を裾野から押し上げる効果をもたらしています。一方で、専門店側は自店のポジションを明確にしないと顧客に選ばれにくくなるため、ブランディングがますます重要になるといえます。

イベント行事の再開とキッチンカー人気の加速

コロナ禍で中断されていたフードフェスや自治体主催の国際交流イベントが2023年後半から相次いで再開されました。バインミーは片手で持てて食べやすいことからイベントメニューとの相性が抜群で、キッチンカー出店が急増しています。イベント当日の平均売上は1台あたり8万〜15万円とされ、短期回収を狙えるビジネスモデルとして若年起業家からも注目されています。企業のオフィス街ランチローテーションに特化した車両や、スポーツ観戦・音楽フェスに帯同する“追っかけ型”車両も出現し、市場の機動力が高まっています。

大衆化が進み、より身近に

2024年夏には大手コンビニエンスストアが相次いでバインミーをテスト販売し、カフェチェーンも試験導入を開始しました。個人経営のカフェ店舗でもバインミーを取り扱うケースが増え、バインミーはサンドイッチカテゴリーの一角として日常的に選ばれる存在になりつつあります。

普及の課題とポテンシャル

現状では認知度がフォーの4分の1程度に留まっており、さらなるプロモーションが不可欠です。また、米粉バゲットを安定生産できるベーカリーは全国で20社あまりしかなく、需要急増に供給が追いつかない地域が散見されます。パクチーなど香草の好みが分かれる点も市場拡大の障壁ですが、ジャパニーズ風アレンジとパクチー抜きオプションの普及が解決策となり得ます。

一方、在留ベトナム人は60万人を突破し、国内ベトナムフェスティバルは年間50件を超える規模で開催されています。これらはバインミーの“生態系”を支える強固な需要基盤であり、キッチンカーの増加、エスニック料理店のサイドメニューとしての登用が進めば、2027年には700拠点を超える成長シナリオも現実味を帯びています。

おわりに

バインミー市場は、在留外国人コミュニティと日本人消費者のエスニック嗜好という2つのエンジンで加速しながら、多様な業態と商品コンセプトを生み出しています。現地風とジャパニーズ風の二極化は市場を広げるポジティブな要素である一方、ブランドポジションの明確化と供給体制の整備が事業者にとっての課題です。豊かなポテンシャルを活かすためには、まずは十分な認知の獲得が鍵と言えるでしょう。

Writersライター情報

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専門店
(店舗型)
専門店
(移動型)
取り扱い店
2010年5010
2011年11130
2012年18250
2013年24470
2014年30590
2015年4410112
2016年5815134
2017年7220156
2018年8627178
2019年10034200
2020年12050204
2021年14065208
2022年16080212
2023年180100216
2024年200120220
※専門店とは、バインミーを中心に販売する店舗を指します
※取り扱い店とは、メニュー内にバインミーがある店舗を指します

バインミー店舗数の推移

2010年時点で確認できたバインミー販売拠点はわずか15店でしたが、2024年末には常設店舗が約500店、イベント主体のスポットキッチンカーを含めると約540拠点にまで拡大しました。10年間で約4倍、15年間で36倍という伸び率で、ベトナム料理カテゴリーのフォーに続く人気料理です。

成長を3段階に分けると、①初期(2010〜2013年)は在日ベトナム人の急増とともに本格派の専門店が誕生、②中期(2014〜2019年)はエスニック料理ブームやSNSの拡散によって地方都市まで波及した期間、③現在(2020〜2024年)はコロナ禍の外食制限により手軽なテイクアウト需要が爆発した期間となります。また直近ではキッチンカーが増加傾向にあり、イベント等のスポット出店はもちろんのこと住宅街やオフィス街でもバインミーのキッチンカーを見かける機会が増えてきました。

店舗増加傾向のトレンド(業態・地域)

業態別動向

  • 専門店(路面型)は都市部の駅周辺に8〜12坪のテイクアウト店舗、または10席程度の小型店舗として出店するケースが主流で、平均客単価は650〜800円です。素材にこだわった店舗では1,000円前後で提供するケースも珍しくはありません。コロナ禍以降はテイクアウト専業の小箱モデルが資本効率の高さから注目されています。
  • キッチンカーは初期投資200万〜350万円で開業でき、企業ランチローテや週末フードフェスに最適化した営業形態です。現在確認できる常設車両だけで100台を超え、ローテーションやイベント専業を含めると実数はさらに多いと推定されます。
  • 既存飲食店内販売はベトナム料理店・アジアンダイニング・カフェがランチメニューの一角としてバインミーを取り入れる形態で、約220店を数えます。既存厨房を活用できるため、追加投資を抑えつつ客単価アップが図れる点が魅力です。

地域特性と出店パターン

出店傾向は大きく2つのロケーションに分かれます。在留ベトナム人が多い工業地域や留学生街では、母国の味を求める需要を取り込む形で現地風専門店が多く見られます。オーナー含めたスタッフがベトナム人であることも少なくありません。都市圏の中心部や観光エリアでは、「エスニック料理好き」や「海外旅行志向」の日本人をターゲットにした現地風専門店に加え、「パクチーが苦手」といった人たちにも受け入れられやすいようなジャパニーズ風の創作バインミーが台頭しています。つまり、人口動態ドリブン型と嗜好性ドリブン型という2つの成長エンジンが併存し、地域の顧客構造によって業態ミックスが決まるのが特徴です。

二極化するバインミー

市場が成熟するにつれ、商品コンセプトは「現地風」と「ジャパニーズ風」の二極化が鮮明になっています。

  • 現地風バインミーは、小麦粉に加え米粉を含んで作られたバゲットにレバーペースト、チャーシュー(主に鶏ハム)、なます、パクチーをはさんだ本格仕様です。価格帯は600〜800円前後とリーズナブルな傾向にあり、在日ベトナム人や“本場の味”を求める日本人エスニックファンに支持されています。
  • ジャパニーズ風バインミーは、日本の食材や調理法を取り入れた創作系です。しょうが焼き、から揚げ、厚焼き玉子、さらには季節のフルーツをサンドしたスイーツ系まで多様化しており、価格帯は600〜1,000円前後が主流です。パンも小麦比率を高めてふんわり仕上げるなどの工夫を行う店舗も見られます。

こうした二極化は、顧客層の拡散を促し市場を裾野から押し上げる効果をもたらしています。一方で、専門店側は自店のポジションを明確にしないと顧客に選ばれにくくなるため、ブランディングがますます重要になるといえます。

イベント行事の再開とキッチンカー人気の加速

コロナ禍で中断されていたフードフェスや自治体主催の国際交流イベントが2023年後半から相次いで再開されました。バインミーは片手で持てて食べやすいことからイベントメニューとの相性が抜群で、キッチンカー出店が急増しています。イベント当日の平均売上は1台あたり8万〜15万円とされ、短期回収を狙えるビジネスモデルとして若年起業家からも注目されています。企業のオフィス街ランチローテーションに特化した車両や、スポーツ観戦・音楽フェスに帯同する“追っかけ型”車両も出現し、市場の機動力が高まっています。

大衆化が進み、より身近に

2024年夏には大手コンビニエンスストアが相次いでバインミーをテスト販売し、カフェチェーンも試験導入を開始しました。個人経営のカフェ店舗でもバインミーを取り扱うケースが増え、バインミーはサンドイッチカテゴリーの一角として日常的に選ばれる存在になりつつあります。

普及の課題とポテンシャル

現状では認知度がフォーの4分の1程度に留まっており、さらなるプロモーションが不可欠です。また、米粉バゲットを安定生産できるベーカリーは全国で20社あまりしかなく、需要急増に供給が追いつかない地域が散見されます。パクチーなど香草の好みが分かれる点も市場拡大の障壁ですが、ジャパニーズ風アレンジとパクチー抜きオプションの普及が解決策となり得ます。

一方、在留ベトナム人は60万人を突破し、国内ベトナムフェスティバルは年間50件を超える規模で開催されています。これらはバインミーの“生態系”を支える強固な需要基盤であり、キッチンカーの増加、エスニック料理店のサイドメニューとしての登用が進めば、2027年には700拠点を超える成長シナリオも現実味を帯びています。

おわりに

バインミー市場は、在留外国人コミュニティと日本人消費者のエスニック嗜好という2つのエンジンで加速しながら、多様な業態と商品コンセプトを生み出しています。現地風とジャパニーズ風の二極化は市場を広げるポジティブな要素である一方、ブランドポジションの明確化と供給体制の整備が事業者にとっての課題です。豊かなポテンシャルを活かすためには、まずは十分な認知の獲得が鍵と言えるでしょう。